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原因もわからずに耳鳴りがしてという不安を抱いている人も多いようですが、この耳鳴りも噛み合わせのズレと大きく関わっているのです。 耳の手前を指で押したまま口を開けたり閉じたりすると、カクカク動く箇所がありますが、下顎の上部に位置する下顎頭という部分です。
噛み合わせの悪い人は、この箇所が耳の鼓膜のほうへ押しつけられているために、耳鳴りという現象を引き起こすのです。 ですから片方の下顎頭だけが押しつけられている人は、片方だけ耳鳴りがします。

また、めまいがしたりするのは、この近辺に存在する三半規管に悪い影響を与えているからだと考えられています。 噛み合わせの悪い人に耳鳴りや難聴の人が多いのは、こういった理由によります。
あまり知られていないことですが、噛み合わせのズレが最も顕著に現れるのが睡眠です。 眠りを妨げる最も大きな要因は、歯ぎしりや歯の食いしばりなのです。
起きて行動している意識下で、噛む力は、大体人間ひとり分の体重程度だといわれていますが、歯ぎしりや歯を食いしばる力は、その5倍近くだといわれています。 その証拠に、意識下では歯ぎしりの音を出すことはできません。
筋肉にそれほどの力がかかると、筋肉には多くの酸素を送り込まなければなりません。 そのため、本来、脳へ送られるべき酸素が減少して自律神経系の機能に異常をきたし、眠りが浅くなったり睡眠の途中で目が覚めたりしてしまうのです。
あるいは逆に、目が覚めずに脳が酸素不足になって、最悪の場合は睡眠時無呼吸症候群として死に至るという事態も考えられます。 近年、いびきをかく人と無呼吸症候群との関係が注目されていますが、いびきをかく人と歯ぎしりをしている人には深い関わりがあるのです。
歯ぎしりは口を閉じて行う行為であり、いびきは口を開けて行う行為ですから、一見、正反対と思われるかもしれません。 ところがいびきというのは、噛み合わせが悪くて顎が後方に下がってしまうことによって舌の位置が後方に押し込められてしまい、そのために気道が開いて起こるのです。
いびきをかく人は睡眠中ずっといびきをかき続けるわけではありませんし、歯ぎしりをする人もトータルでほんの5分程度の時間だといわれています。 ですから、歯ぎしりをしたり、いびきをかいたりと両方できるのです。
このように、噛み合わせの不良が全身に及ぼすと考えられる項目は想像以上に多く、たいへん奥の深い領域なのです。 それではここで、噛み合わせと関係の深い顎の関節について説明していきましょう。
人体にはいくつもの関節があり、それぞれの関節が回転することによって体が動くようになっています。 つまり、指・腕・肩・ひざ・腰などすべての関節は、例外なく回転運動のみを行っているのです。

したがって関節の安定する位置は一カ所と決まっていて、遊びの部分はほとんどありません。 たとえば肩などの関節がはずれた場合、ゴキッと動かして正しい位置に戻しますが、正しい位置というのは一カ所と決まっているからです。
顎の関節は、回転運動だけでなく滑走運動も行う唯一の関節なのです。 回転運動に加えて滑る運動もするために多少の遊びの部分があるので、必ずしも正しい位置でないと顎が痛くなったり、口が開かなくなったりするということはありませんが、そのズレが大きくなると、ほかの部分にも歪みを生じることになってしまいます。
遊びの部分が存在するということは、良い面でもありますが、その反面、正しい位置を見つけることが難しくなるという欠点もあります。 そのため正しい噛み合わせの考え方にも、いく通りもの考え方が存在してしまうのです。
噛み合わせが悪いと、将来どんなことが起こるのでしょうか。 虫歯や歯周病であれば、患者さん自身で自覚したり、歯科医からの説明で自分の状態を把握することができます。
自分の噛み合わせについて自覚している人はほとんどいませんし、歯科医院で医学的な説明を受けても、何を言われているのかさっぱりわからないという人がほとんどではないでしょうか。 私は、患者さんのほうから軽い気持ちで、「噛み合わせを診てください」と言われることに、少々違和感を覚えています。
それというのも、本当に噛み合わせのいい人というのは、ほんの数%にすぎず、ほとんどの人には大なり小なり何らかの不正岐合があるからです。 ですから、もしすべての人に噛み合わせの検査をしたら、ほとんどの人に問題があって治療したほうがいいという結果になってしまいます。
当クリニックの患者さんは女性が17%近くを占めることもありますが、最初の判断基準は、寒さでふるえるときのように顎を勢いよくカチカチ噛んだときに奥歯が安定していれば、筋肉の引っ張る力と奥歯の位置関係が一致していることを示しています。 ほとんどの方は、噛み込むときに顎のズレからくると思われる症状も抱えていて、理想的な噛み合わせの患者さんは、ほんの数%しか存在しません。
そもそも、患者さんに正しい噛み合わせの知識がなければ、勉強不足の歯科医に「正しい噛み合わせです」と言われても、患者さんは本当にその噛み合わせが正しいのかどうかわかりません。 そこで正しい噛み合わせについて、一般にわかりやすい判断基準を説明しましょう。

前歯と奥歯にはそれぞれの役目があり、顎の運動の違いによってお互いの歯を保護しあっています。 顎を左右に動かしたとき、前歯によって奥歯が当たらないのが理想です。
ところが左右の動きを妨げる関係に歯が並んでいると、顎はスムーズに左右対称に動かなくなり、片側ばかりに動きやすくなってしまうのです。 このほかの噛み合わせのチェック方法は専門的になってしまうので、やはり歯科医院で調べてもらうしかないでしょう。
また、呼吸・いびき・睡眠時無呼吸症候群なども、歯や噛み合わせと深い関係があります。 姿勢の悪い子どもの割合と噛み合わせの悪い子どもの割合は、ほぼ正比例しています。
成長の途中で子どもに永久歯が生えてきて、徐々にその人の噛み合わせがつくられていきます。 その噛み合わせが悪ければ、骨の成長に左右差が出たり、筋肉の収縮にも異常が生じます。
子どもに限ったことではなく、大人でも噛み合わせが悪くなることで、簡単に姿勢も悪くなります。 たとえば片足だけ靴を履いて生活していたら、いやがおうにも背骨が曲がってしまうのと同じようなものです。

歯や噛み合わせは、全身に対して計り知れないほどの大きな影響を及ぼしているのです。 噛み合わせの不良によって、頭痛や肩こり、首の痛みなどを引き起こすということを、テレビや雑誌などのマスコミが取り上げる機会が多くなってきました。
そうしたこともあって、症状がひどい場合は歯科医院で治療を受けることを希望される方も増えてきました。 噛み合わせの不良が引き起こす問題は、頭痛・肩こり・腰痛などの筋肉系の問題と、頚椎のねじれに由来する血管や神経などへの圧迫から生じる手足のしびれ・イライラ・生理痛など自律神経系の問題のふたつに大別できます。
生理痛がひどくて歯科医院を訪れるというと、不思議に思えるでしょうが、実際に噛み合わせの治療をしてから生理痛が軽くなったということを、当クリニックでは数多くの方が経験していらっしゃいます。

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